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70年ぶりの大改革!全社畜が泣いた「働き方改革関連法案」とは?

 

「働き方改革」という言葉が世に出て早数年、巷では働き方改革なんて名ばかりで、残業していた仕事を結局家に持ち帰ってやるだけの「風呂敷仕事」と揶揄されていました・・・が!

安倍首相が「戦後の労働基準法制定以来70年ぶりの大改革」とアピールするのが「働き方改革関連法」です。

 

具体的に何が変わるのかよく分からない方に、簡単かつ端的に2019年4月時点での変更点をまとめておきます。

そもそもサイレントで労働基準法を違反しているクソみたいなブラック企業も数多く存在しますが、知らなければ狸寝入りを強いられるのが法律の世界です。

学校で触り程度しか教わる機会はないし、クソ残・サビ残させる会社が諸悪の根源なのは間違いありませんが、狸寝入りしたくなければ労働者側だって最低限の知識を付ける努力は必要ですよ。

 

ということで今回は3つの法律が数箇所改正されるので、企業人事も働くみなさんもバッチリ押さえておきましょう。

 

1.労働基準法の改正

 

まずは労働関連法の柱となっている労働基準法について。

改正内容は全4箇所で、主に残業に関する部分が変更になります。

 

時間外労働の上限規制|残業に上限設定

 

これまで:
労働時間を1日8時間週40時間まで、36(サブロク)協定を結べば45時間、年360時間、特別条項付き36協定を結べば、上限なく残業を延長することができる。

改正後:
特別条項付き36協定を結んでも、2〜6ヶ月間の複数月いずれかの平均労働時間が80時間超える(休日労働を含む)、または1ヶ月100時間、年間720時間を超える時間外労働はできなくなる。

 

これでも余分な文章は省いているんですが、法律絡みなのでどうしてもややこしさが残るのはご容赦願いたい。

文面に出てきた「36協定」はご存知ですか?

僕が渡り歩いた5社全てで、従業員一人ひとりがこれの存在を知っていた会社はありませんでしたし、僕自身も人事部になって自分で扱うようになって初めてその存在を知ったくらいです。

恐らく知らない人が大半だと思うので、少し補足しておきますね。

 

▶そもそも「36協定」とは?

36協定とは、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」。
会社が法定労働時間以上の残業や休日出勤を従業員に命じる場合、本来は労使間でこの36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることになっています。

36協定は労働者が1人でも法定労働時間を超えて時間外労働させる場合、または法定休日労働させる場合には、必ず届け出なければなりません。

もしこの「36協定届」を労働基準監督署に届け出ずに従業員に時間外労働をさせた場合は労働基準法違反、つまり「違法」となります。

ところがなんと、平成25年10月に厚生労働省労働基準局の調査によると、中小企業の56.6%が時間外労働・休日労働に関する労使協定が未締結で、そのうちの半数以上が「違法残業をさせている」ということが判明しています。


36協定は従業員の代表1名の署名捺印があれば届け出ができてしまうので、ほとんどの従業員が知らない内に形式上提出している企業もあれば、存在すら知らずに違法労働をさせている意識低い系経営者もいるのが実態です。

 

法律上で制限ができたのは喜ばしいことなんですが、それがちゃんと取り締まれるかというと全くの別問題です。

たとえば、勤めている会社に複数月の平均労働時間を正しく集計し算出する仕組みが有るかどうか?

そもそもタイムカードに当たるものが無い、あっても自分で押させないとか、近年は打刻もシステム化されているので、打刻データを改竄して時間内に収める、なんてこともできてしまいますからね。

自分の会社の仕組みがどのようになっているのか、そして今後どういった環境改善をしていくのか、積極的に確認してみましょう。

 

出典元:厚生労働省
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案の概要」時間外労働の上限規制の導入

 

年次有給休暇の年5日の時季指定義務|有給消化が義務化

 

日本の有給取得率(≒消化率)は49.4%

これを高いと見るか低いと見るかは意見が分かれるところだと思いますが、2008年から2018年まで世界18ヵ国と比較するとほとんどが最下位という惨状です。

 

日本は法律の教育が薄っぺらいし、実践的なことをほとんど教わらないので、「違法とは知らずに堂々と違法行為をしている」という経営者、マネージャーが後を絶ちません。

本来有給は「自己都合」という理由で充分なのに、何故か適切な理由を添えないと休めないとか、「勤務態度が悪い!」みたいな謎の理由で有給を消化させてもらえなかったりしますからね。

偉そうな上司も「法律全然わかってません★」と言いながら違法行為をしているに等しいので、滑稽というか、痛々しいというか。

 

こういった実情を受けて、会社が労働者の希望を聞いてその希望を踏まえて年5日は取得させる義務が課せられました。

今までは申請したのに「そんなの聞いてない」と無視してきた会社も少なくないですが、最低でも1年で5日は企業側から労働者にきちんと要望を聞いた上での取得となります。

なぜか5日w 本当なら全部使わせてほしいですけどね。

これも残業と同じく、「今現在有給が何日残っていて、1年に何日使ったかを管理する仕組みがあるかどうか」が重要です。

要望を全く聞かない、元々の休みに被せて使うよう誘導してくる会社は真っ黒です。

最低限の法律も守れないような会社は救いようが無いので、さっさと転職しましょう。

 

 

フレックスタイム制清算期間 最長「3ヶ月」へ改正

 

これはフレックスタイム制を導入している会社のみ。

現在フレックスタイムの清算期間は1ヶ月、月を跨いでの調節が不便だという声が多く聞かれていますが、今回の改正で最長3ヶ月間に対応、期間内の労働時間が法定内であれば月を跨いで対応可能になりました。

ただし、「労使協定の届出」と「月の労働時間の上限設定」が必須になるため、上司や会社に働きかけて早めに実装するよう立ち回る必要があるかもしれませんね。

 

高度プロフェッショナル制度の創設|ハイキャリア専門職に朗報

 

「高度プロフェッショナル制度」とは、年収1,075万円以上の一部の専門職に対して、労働時間規制や時間外労働の割増賃金支払い規定の対象外とする制度のことです。

「あれ?それって改悪じゃね?」と思うかもしれませんが、労働時間に規制が無ければ仕事が終わり次第退社!という夢のような働き方ができそうですが、実際はそううまくはいかないでしょう。

専門職というのはプロジェクト単位で業務にあたるケースも多く、人外な過重労働を強いられる場面が多々あります。

 

この点を考慮して、労働者の健康確保という名目で「年間104日以上、4週4日以上の休日確保」に加えて、会社は下記のいずれかの措置を講じる必要があります。

 

1:インターバル規制
2:在社時間等の上限設定
3:1年につき2週間連続の休暇取得
4:臨時の健康診断の実施

 

この措置があることで、これから対象になる方は過度な過重労働を避けることができる上、既に対象の専門職の方は自動で適用されます。

「うちの会社はそんな柔軟に対応しそうにないよ」という場合、ご安心ください。

何と適用しなければ50万円以下の罰金が課されるケースまで用意されています。

過重労働を懸念して専門職になることを危惧している人も、安心してチャレンジできますね。

 

2.労働安全衛生法の改正

 

続いての改正は、労働者の安全と健康、快適さを確保することを目的とした「労働安全衛生法」。

もしあなたの職場が健康的でも快適でもない、ムショのような環境の場合、一度この法律をじっくり見てみるといいですよ。

さて、この法律での改正点は2点です。

 

労働時間の客観的把握

 

残業上限設定の項で、懸念事項として話題に出したタイムカードに関する改正です。

実はこれまで、出勤簿に当たるものに何を記載すべきか、どのような基準で勤怠把握をすれば良いのかという法的根拠は曖昧な状態でした。

極端な話、明確な決めごとが無かったので、どんなにずさんであっても、「管理してるよ?」という痕跡さえあればOKだったのです。

これがエスカレートすると、電通で起きた過労自殺事件のような痛ましい問題に発展してしまいます。

 

こういった問題を受けて、「タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録」など、第三者が見てもすぐに分かる方法で労働時間を記録、管理することが義務付け」られます。

 

 

産業医・産業保険機能の強化

 

これまで:
産業医は、労働者の健康を確保するために、必要に応じて事業者に対して勧告することができる。
事業者は、産業医から勧告を受けた場合は、その勧告を尊重する義務がある

改正後:
事業主から産業医に対し、長時間労働者の状況や労働者の業務状況など、労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならない。

事業主は、産業医から受けた勧告の内容を衛生委員会に報告すること。
また、産業医からの勧告内容を元に、衛生委員会にて実効性のある健康確保対策の検討に役立てる。

 

つまり、これまでは「努力義務」だったことが「義務規定」としてグレードアップした、ということです。

定期の健康診断だけではなく、肉体面や精神面で産業医が「その従業員について知りたい」と思った情報は全て提供することが義務付けられ、勧告を受けた場合は安全衛生委員会へ報告するという流れになります。

これのおかげで、医師が労働者を守り、無茶な労働から脱却させることができます。

 

 

3.労働時間等設定改善法

 

最後に、労働時間等設定改善法です。

会社が従業員を働かせ過ぎることにブレーキをかけるための法律ですね。

これは勤務間インターバル制度の導入促進のみですが、ようするに「勤務終了から次の勤務開始まで、適切な時間を設ける努力をして、労働者に休憩や睡眠の時間を確保してね」という内容です。

「当たり前やないかいww」と言いたくなりますが、その当たり前ができていない会社が存在するからこその改正です。

サービス業や運送業など、営業時間が長かったり深夜に及ぶ業種では、この当たり前のことが保障されずに、過酷な労働環境で毎日毎週、身を削っているのです。

 

最後に:あなたの会社は信用できる?

 

ということで、働き方改革関連法案についてざっくりと説明してきました。

この改正を受けて、社内ではどんな説明がされるのか、どんな変更があるのかに注目して、今勤めている会社が果たして信頼に足る会社なのかを見極める良い機会でもあると思います。

 

監査の甘い中小零細企業では、法律に無頓着な経営者が多く、その経営者の下で働くマネージャークラスも当然にして無頓着な場合が多々あります。

経営者でなくとも、最低限法律の改正くらいには敏感になるべきですが、今回の改正を知りもしないような超絶意識低い系経営者は確実に存在します。

 

会社として今後の対応があやふやなものだったり、そもそも説明すら無いような真っ黒ブラックど真ん中のような会社なら、悪いことは言いません。

本当に退職、転職を積極的に検討していいレベルです。

まぁそういう会社に限って辞めると言い出しにくい、辞めさせてくれないといった他の問題と隣合わせだったりするんですけどね。

そういう方もご心配なく、以下の記事を併せてどうぞ。

 

 

今は会社との退職手続きを代行してくれる会社も出てきていますし、自分の市場価値や年収を無料で算出してくれる便利なサービスも増えてきました。

忙しくて調べる時間があまりない人でも、最短距離で成功する転職活動の仕方を下記にまとめているので、併せてどうぞ。

 

 

今回の改正に対する会社の対応を見て、一度会社の外に目を向けてみると、今よりもずっと良い条件、良い環境の会社が見つかるとかもしれませんよ。

 

 

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