社会・経済

【朗報】10000時間の法則は誤り!無駄な努力を省く効率的な方法

「10,000時間の法則」とは

 

あらゆる分野で一流になるには10,000時間の努力が必要だと言われてきました。

これはイギリスのベストセラー作家、マルコム・グラッドウェル氏がその著書「天才!成功する人々の法則(原題:Outliers: The Story of Success)」で10,000時間の法則を提唱したことで世に広まったもの。

グラッドウェル氏は「エリート演奏家は20歳までに合計10,000時間の練習を積み重ねた」という調査結果が出たこと、モーツァルトやビル・ゲイツをはじめとした成功者は大きな結果が出るまで10,000時間の下積み期間があったとしてこの説を提唱して、広く信じられてきました。

▶1日3時間の作業で1,000時間に到達する場合
1,000時間 ÷ 3時間 = 333.333・・・

A. 毎日3時間やって333日

 

▶1日6時間で1,000時間に到達する場合
1,000時間 ÷ 6時間 = 166.666・・・

A. 毎日6時間やって166日

 

【真実】10,000時間の法則は事実と異なる

でも実は…この10,000時間の法則は存在しないということが判明しています。

グラッドウェル氏は、フロリダ州立大学で心理学を研究しているアンダース・エリクソン教授の「計画的訓練」の研究結果をベースに本を執筆して「10,000時間の法則」を提唱したに過ぎず、オリジナルであるエリクソン教授は「自身の研究成果と事実を歪められた」としてグラッドウェル氏に訂正を求めています。

実際の研究結果では、「10,000時間はエリートたちが修練に費やした平均時間」であって、25,000時間以上費やした人もいれば、10,000時間以下でその道の一流になった人もいたというのです。

しかもグラッドウェル氏の持論では「練習の質と量」を区別しておらず、エリクソン教授の研究結果の核となる部分が欠落した議論だったということもわかっています。

 

時間よりも「質」が重要

さらにグラッドウェル氏の理論は生存バイアスにかかっています。つまり「特定の分野で大成功したごく一部の人間にだけフォーカスして、成功しなかった人たちやその他の分野を除外している」ということ。
もちろん、大成功者には運や環境要因だって無視はできないでしょう。

オリジナルであるエリクソン教授も下記のようにコメントしています。

非常に具体的でよく考えられた練習方法を用いれば、非常に高いレベルの専門性を身につけるまでに必要な時間は10,000時間よりもずっと少ない。

 

また別の論文では音楽やチェスの世界では「練習時間が実際のパフォーマンスに影響するのは1/3程度」ということが指摘されていたり、メタ分析の分野では「練習量が習熟度に与える影響はわずか12%程度」であることもわかっています。

僕らの身近な例で考えてみてもこれは明らか。
ただ漠然と毎日1,000回素振りした場合と、プロにフォームを修正してもらいながら毎日300回素振りした場合を比較するとしたら、後者の方が上達が見込めるのは明白です。

これは同時に、

・闇雲に10,000時間練習すればプロになれるわけではない
・実際は10,000時間もかけずともその道のプロになれる方法がある

 

ということを意味しています。

 

10,000時間もかけずに効率的にスキルを習得する方法

学習方法の違いによる習得度の違い|ラーニングピラミッド

近年では科学や脳科学がグイグイ進歩していて、より効率的な学習方法が数多く提案されています。アメリカ国立訓練研究所の研究で、学習方法の違いによる習得度の違いを「ラーニングピラミッド」というもので示しています。

 

見てもらうとわかる通り「聴く・読む・観る」といった受動的な学習方法は軒並み定着率が低いということがわかっています。学校教育とは一体…。

ここでいうデモンストレーションは「実際にやっているところを見る」ということを指していて、見学などもこれに含まれます。
グループ討論以下が学習効率が高いものですが、共通しているのは「能動的に学習している」という点ですね。

そして最も定着率が高いのが「人に教える」という方法だということがわかっています。

 

人に教える側になる|フィードバック学習

人に教えること(アウトプット)が一番の学びになる、というのは聞いたことがあるし、経験があるという人も多いと思います。

「教える」という行為は、他人が書いた文章を目で追ったり、聞いたことがあるという程度の「知っている」というレベルでは足りず、「明確に理解している」必要があります。
誰かに教えるにあたって、ツギハギだった知識を補完したり、質問されて答えられなかった部分を後から埋め合わせるという作業が加わって、他の学習方法に比べて格段に学びが深まります。

 

より短時間で効率的にスキルを習得する3つのコツ

最後に、より学習効率を高めるためのコツが以下の3つ。

1.計画的訓練|明確な目標を決める
2.習慣化する
3.なるべく好きなことを選ぶ

 

順に解説します。

 

計画的訓練|明確な目標を決める

1.数字を含んだ目標を立てる
2.レベルに合わせて細かくステップアップする目標を立てる
3.習熟に必要なスキルを要素に分解して取り組む

「今よりもっとうまくなる」みたいな漠然とした目標ではなく、「3ヶ月でタイムを1秒縮める」といった、達成できたかどうかがハッキリと判定できる目標を段階的に設定するという方法が非常に効果的。

目標に近付いている実感と、上達している実感を持てるのでモチベーションの維持もしやすく、着実にスキル習熟に近付きます。

 

習慣化する

簡単そうでなかなかできないものが習慣化。実は習慣化がうまくいかないパターンが存在します。それが以下の3つ。

① 一気に変えすぎ(人間の脳は急変化を嫌う)
② 短期的に成果を求めすぎ(行動量を見誤っている)
③ 自分一人でやりすぎ

挫折しやすい取り組み方の例はこんな感じ。

① 1日2時間英語学習をする
② 半年後にペラペラを目指す
③ 人知れず決意をして一人黙々とやる

この失敗パターンハマらずスムーズに習慣化する方法が以下。

① 時間をかけて段階的に少しずつ変える
② 成果ではなく習慣化することを目的にする
③ 人の手を借りる・宣言する、行動が続く仕組みやルールを作る
④ 阻害要因は取り除いておく
⑤ カレンダーなどで達成できた軌跡を見れるようにしておく

初めは小さなことでいいので、欲張らず1つずつ続けていくと、当初絶対ムリだと思っていなかった大きなことも習慣化できるようになります。

 

好きなことを選ぶ

仕事上必要に迫られて身に付けるスキルが指定されている場合は厳しいかもしれませんが、そもそも興味が持てないもの、やること自体に苦痛を感じるものはなかなか継続できません。

なので、自分から何をやるか選べる環境にある場合はこれも大事なコツです。好きなことがパッと思い浮かばない場合は、「繰り返しやっても苦にならないこと」「長時間続けていても苦にならないこと」から選ぶのがおすすめ。

どちらもピンとこない場合は、まずは無料診断などで自分の特性を理解するところから初めてみましょう。

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以上、大げさに聞こえるかもしれませんが、「人生」という尺度で考えると間違いなく「何を積み重ねたか」とその密度が大きな差を生んでいます。

この記事を参考により効率的に何かしらのスキルを身に付けていってもらえたら幸いです。

 

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